CURRENT

The Hemispheres

In collaboration with DIMORESTUDIO

会期
2025年6月27日(金)–2025年8月10日(日)
開館時間
10:30–18:00
(祝日・年末年始を除く、入場は閉館の15分前まで)
入場料
無料
会場
HOSOO GALLERY

このたびHOSOO GALLERYでは、2025年6月27日(金)より「The Hemispheres」と題した展示がスタートしました。本展では、イタリア・ミラノを拠点とする建築・デザインスタジオDIMORESTUDIOとの協働によって生まれた新作テキスタイルコレクション「Hemispheres Collection」を、日本で初めて公開しています。2025年4月にミラノデザインウィークにて発表され話題となった同コレクションを軸に、西陣織の伝統的な意匠とイタリアの装飾的感性が融合した、テキスタイルを用いた屏風をはじめとする作品群を展示しています。

本展のタイトルである「Hemispheres」とは、古代ギリシャ語に由来する「半球」を意味し、東洋と西洋、伝統と現代、静と動といった対照的な価値が互いに響き合いながら一つの世界を形成するというコンセプトを象徴しています。本コレクションの中核となるのは、細尾家に受け継がれてきた、約2万点にもおよぶ帯図案のアーカイヴです。これらの図案の多くは「アタリ」と呼ばれる未着彩の素描図案で、何世代にもわたり文様を継承できるように工夫された貴重な資料であります。この未着色という余白にこそ、世代や時代を越えて職人たちが手を加え、完成へと向かう西陣織特有の創作プロセスが息づいています。「Hemispheres Collection」では、HOSOOが長年アーカイヴを行ってきた未完の図案に、DIMORESTUDIOが独自の色彩感覚を加え、新たな命を吹き込みました。

本展では、「Hemispheres Collection」より、33 種類のテキスタイルを用いた新作屏風《The Atlas of Hemispheres》をはじめ、《Optical》《Skyward》《Insignia》《Nami Levitas》《Hishi Small》と題された、同コレクションより厳選したテキスタイルを平面作品として展示し、東洋と西洋の装飾性と色彩感覚が交差する世界を、豊かに描き出しています。また、本展の重要な参考資料として、江戸時代中期から大正時代にかけての西陣の染織裂を貼り合わせた、細尾家伝来の《長寿屏風》を特別に公開し、西陣織の意匠と技術の変遷をご覧いただけます。さらに、本コレクションで重要なモチーフとなった素描図案(アタリ)の実物や、膨大な図案群をデジタル・アーカイヴ化し、AIによる解析によって視覚化した映像作品もあわせて展示。伝統とテクノロジーが静かに共鳴する場面も見どころの一つです。

本展「The Hemispheres」は、伝統の継承と、現代の創造性を融合する象徴であると同時に、西洋と東洋という二元論には留まらない、文化の融合点を探求しました。本展を通じて、織物というメディアが有する長い歴史の記録としての側面を示しつつ、現代の創造の新たな地平を提示いたします。

主催:株式会社 細尾
テキスタイルデザイン:DIMORESTUDIO
空間構成:SUO
展示協力:井高久美子
ディレクション:細尾真孝
宣伝美術:森田明宏

PROFILE

DIMORESTUDIO

2003 年にブリット・モラン氏とエミリアーノ・サルチ氏によってミラノに設立されたDIMORESTUDIOは、住宅、商業施設、ホスピタリティプロジェクトにわたるフルサービスのグローバル建築・デザインスタジオです。

「イタリア語の『Dimore』は住居を意味しますが、貴族的な起源を保つ古いヴィラを連想させる言葉でもあります。この名前にはノスタルジーが込められています。それが私たちのDNAだと思います。歴史的なアプローチをプロジェクトに取り入れ、そこに根を張らせた上で、より現代的な感覚を吹き込みます。」
エミリアーノ・サルチ氏、ブリット・モラン氏

dimorestudio.eu | IG: dimorestudio